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【概算経費の特例②】

2016.9.1

前回に引き続き概算経費の特例についてみていきたいと思います。

今回は社会保険診療報酬と自由診療収入がある場合の計算方法についてです。

社会保険診療報酬と自由診療収入がある場合の経費の計算は、必要経費を社会保険診療報酬と自由診療収入の

それぞれにかかる固有の経費と、社会保険診療報酬と自由診療に共通する経費(以下「共通経費」)

とに分け、共通経費は経費の種類に応じた基準により按分して所得計算をします。

従って全体の収入に占める社会保険診療報酬の割合や、それにかかる固有の経費の額によって、

有利不利の関係が変動しますので、個別に判断が必要です。

〇概算経費の計算方法

歯科の開業医の場合を考えてみましょう。年間の診療報酬と必要経費は以下の通り。

【計算例】

収入 社会保険診療報酬収入 2,400万円
自由診療収入 1,600万円
収入合計 4,000万円
必要経費 共通経費 1,500万円
自由診療部分にのみかかる経費 800万円
必要経費合計 2,300万円

①実額経費の計算

ⅰ.必要経費を区分する

まずは必要経費のうち自由診療部分に係る金額を集計します。明確に自由診療に係る経費として区分できるものを

集計し、残額を共通経費として集計します。

ⅱ.共通経費を按分する

区分した共通経費を社会保険診療に係る金額と自由診療に係る金額に按分します。按分する際には

収入割合や延患者数の割合等を基準として計算します。今回は収入割合で計算します。

なお、収入割合を基準に区分する場合には、診療科目に応じて、以下の調整率を乗じる必要があります。

これは同一の原価によって診療された場合でも、自由診療の方が社会保険診療よりも単価が高いことを考慮するためです。

【調整率】

診療科目 調整率
内科、耳鼻咽喉科、呼吸器科など

下記以外(美容整形を除く)

85%
眼科、外科、整形外科 80%
産婦人科、歯科 75%

(共通経費の集計)

2,300万円-800万円(自由診療部分)=1,500万円

(収入割合に基づき自由診療部分の割合)

1,600万円(自由診療収入)×75%(歯科調整率)=30%

4,000万円(総収入)

(共通経費のうち自由診療部分)

1,500万円×30%=450万円

(自由診療部分の必要経費)

800万円+450万円=1,250万円

(社会保険診療部分の必要経費)

2,300万円-1,250万円=1,050万円

 

②概算経費の計算

社会保険診療報酬が2,400万円なので、社会保険診療報酬に対応する概算経費は以下になります。

2,400万円×72%=1,728万円

 

③実額経費と概算経費の比較

①、②で計算した金額をもとに有利不利の比較を行います。

【実額経費と概算経費の比較】

社会保険診療 自由診療 合計
実額経費 収入 2,400万円 1,600万円 4,000万円
必要経費 1,050万円 1,250万円 2,300万円
差引 1,350万円 350万円 1,700万円
概算経費 収入 2,400万円 1,600万円 4,000万円
必要経費 1,728万円 1,250万円 2,978万円
差引 672万円 350万円 1,022万円

 

上記の比較の結果、実際には社会保険診療に対応する経費は1,050万円ですが、

概算経費の特例を適用した場合1,728万円を経費として計上できるため、概算経費の適用を受ける方が有利になります。

前述の通り、概算経費の特例の適用は有利となる場合と不利となる場合があるので、適用の際はご注意ください。

 

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